2007年10月15日
俺はタンクマン3 『男編3』
この街は誰にも寛容かもしれない。
排ガスと化粧と欲望の匂い。
どれも久しく嗅いでいないな。
空きっ腹の俺には油が浮いたようなチャイニーズフードが似合う。
昇る火にあぶられ、冷水に晒されて白く膨れ上がった手。
鍋をふりながら、厨房で怒鳴る大陸の男。
チャーハンは、思ったよりも胃にやさしい味つけだった。
無愛想でも料理に彼の心を感じた。
満腹になってキャッシャーに立つ。
白髪まじりのキリギリスみたいな女に金をわたして店を出る。
釣りはないはずだが小さなコインがかえってきた。
この国では『縁』があるとされる黄金色のコイン。
俺に吉報などあるわけもなく、あてもない旅が続くだけだが、俺のロザリオになるかもしれない。

壊れた信号機の下、横断歩道をわたる老婆。
体重の倍はありそうな大荷物を背負ってトコペタトコペタと音を立て歩く。
スポーツカーもトラックも慈悲のないスピードで老婆を邪魔にしながら走り抜けていく。
ファミリーカーも同じ、顔だけ優しい「名ばかり」の車だ。狭い街をどうあがくと何分得をするのだろう。
急ぐことを忘れたモノには対照的な光景だ。
俺はプロテクトするように老婆の横を歩いた。
駅へ向かっているんだろう。あんたには長い道のりだな。
丸く曲がった背中、荷物から何か落ちた。
それは1個の梨で、俺は黙ってそれを拾って自分のものにした。

タロウという女の子が働くパブ。
こんな時間に彼女が居るわけはない。
造花でも切り花でも『花』はいい。
ふるさとの記憶もない俺だが、きっと産まれいでた場所には花が咲いていたように思う。
きれいなtatooの肌を今夜も客に披露するのか。
きっと潔く脱ぐのだろうな。
できた男ならぎらつく目玉はやめて大人しくなるはず。
美しいものにはパワーがあるから、暗闇の住人は嫌い去る。

やはりタロウは店にはいなかった。
こういうとき、時間をつぶすのにもテクニックがいる。
工事現場のドラム缶から夕日に染まるこの街をみた。
ブーツの底に引っ付くガムにさえも今日の俺は精霊が宿ってみえる。
遠くに飛行機。近くにカラス。
タロウは新しい着物を買ったと電話で笑った。
喜ぶ声が眩しかった。
髪飾り。
髪飾りがいいな。贈るなら。
俺は電車は使わずに歩いて西に向かった。
呉服屋だってあるだろう。
フェイクでも純正でも何でもござれの、この国だ。


『さざん』て女を知らないか?
排ガスと化粧と欲望の匂い。
どれも久しく嗅いでいないな。
空きっ腹の俺には油が浮いたようなチャイニーズフードが似合う。
昇る火にあぶられ、冷水に晒されて白く膨れ上がった手。
鍋をふりながら、厨房で怒鳴る大陸の男。
チャーハンは、思ったよりも胃にやさしい味つけだった。
無愛想でも料理に彼の心を感じた。
満腹になってキャッシャーに立つ。
白髪まじりのキリギリスみたいな女に金をわたして店を出る。
釣りはないはずだが小さなコインがかえってきた。
この国では『縁』があるとされる黄金色のコイン。
俺に吉報などあるわけもなく、あてもない旅が続くだけだが、俺のロザリオになるかもしれない。

壊れた信号機の下、横断歩道をわたる老婆。
体重の倍はありそうな大荷物を背負ってトコペタトコペタと音を立て歩く。
スポーツカーもトラックも慈悲のないスピードで老婆を邪魔にしながら走り抜けていく。
ファミリーカーも同じ、顔だけ優しい「名ばかり」の車だ。狭い街をどうあがくと何分得をするのだろう。
急ぐことを忘れたモノには対照的な光景だ。
俺はプロテクトするように老婆の横を歩いた。
駅へ向かっているんだろう。あんたには長い道のりだな。
丸く曲がった背中、荷物から何か落ちた。
それは1個の梨で、俺は黙ってそれを拾って自分のものにした。

タロウという女の子が働くパブ。
こんな時間に彼女が居るわけはない。
造花でも切り花でも『花』はいい。
ふるさとの記憶もない俺だが、きっと産まれいでた場所には花が咲いていたように思う。
きれいなtatooの肌を今夜も客に披露するのか。
きっと潔く脱ぐのだろうな。
できた男ならぎらつく目玉はやめて大人しくなるはず。
美しいものにはパワーがあるから、暗闇の住人は嫌い去る。

やはりタロウは店にはいなかった。
こういうとき、時間をつぶすのにもテクニックがいる。
工事現場のドラム缶から夕日に染まるこの街をみた。
ブーツの底に引っ付くガムにさえも今日の俺は精霊が宿ってみえる。
遠くに飛行機。近くにカラス。
タロウは新しい着物を買ったと電話で笑った。
喜ぶ声が眩しかった。
髪飾り。
髪飾りがいいな。贈るなら。
俺は電車は使わずに歩いて西に向かった。
呉服屋だってあるだろう。
フェイクでも純正でも何でもござれの、この国だ。


『さざん』て女を知らないか?


